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眠りのニュース
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認知症ケアの原則の一つとして私が挙げているのが「個性的空間づくり」である。老人は自分の老いや障害とともに生きていくことに一生懸命だ。そこに入院や施設入所といった環境の変化が加わることで、適応力の限界を超えてしまう。

 私たちはその失われた環境を取り戻すことから始める。といっても、元の生活に戻ることは難しい場合が多い。そんなときには「環境」なんていう大げさなものではなくて、その人の周りの空間を、その人らしいものにしていくのだ。

 まず、ベッドの周りに私物を並べてもらう。じつは私物は最も大切な介護用品である。なにしろ人生をともにしてきたものであり、老人がアイデンティティーを確認するための最も身近なものだからだ。

 私は全国を講演して歩くのが仕事なので、年に150回もホテルに泊まる。5泊も6泊も連続してホテルということもある。ホテルは近代的で清潔だ。シーツだって毎日替えてくれる。でも久しぶりに家に帰ると、ぐっすり眠れる。どうしてだろう。どう考えても家よりホテルのほうが快適なはずだが。

 それは家が私の個別の空間だからだ。枕も使い慣れているし、何より多くの私物に囲まれている。自分が自分であることを確認できるからホッとするのだ。

 白い壁とシーツ以外に何もないような病院や施設のスタッフよ。まず老人の大切なものを持ってきてもらおう。家族との思い出の詰まったアルバムなんかが最もお勧めだ。ベッドの周りが私物でいっぱいになるころ、老人はすっかり落ち着いているに違いない。

 (三好春樹=「生活とリハビリ研究所」代表)

2007年5月22日  読売新聞)
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