寝具メーカー「やくもわた」が事業停止

寝具の地場大手メーカー、やくもわた（出雲市荒茅町、今岡和政社長、資本金三千万円）は四日付で、従業員五十五人（正社員四十六人、臨時社員九人）を全員解雇し、事業を停止した。五日、松江地裁に自己破産を申請する。代理人の弁護士などによると、事業停止の要因は販売不振で、負債額は金融債務を中心に約十三億円という。

　民間信用調査会社などによると、同社は一九二一年創業の老舗寝具メーカー。先代の故・今岡正一氏は、出雲商議所副会頭を務めた。

　同社は当初布団綿を製造していたが、一九五〇年代半ばから布団、座布団の製造を開始。その後、経済成長の波に乗り、婚礼寝具を主力商品として広島や岡山、山口などに営業拠点を展開した。

　一時期は、中国五県や大阪、兵庫のふとん専門店など約二百五十店と取引するなど、業況を拡大。ピーク時の八八年十二月期は四十三億四千九百万円の売り上げを記録し、約二百五十人の正社員を抱え、島根県内最大のメーカーとして営業していた。

　しかし、その後の生活様式の変化などによる婚礼寝具の需要減少をはじめ、ふとんの単価下落、海外メーカーなどとの競合激化で売り上げが減少。二〇〇〇年十二月期には、年商二十億円を割り込んだ。

　従業員をリストラして業務のスリム化を図る一方、不動産や株式の売却などで利益確保に努めたが、過去二期は営業赤字を計上。昨年十二月期には売上高が十億円余りにまで落ち込み、今期も売り上げの低下が続き資金調達に苦慮していた。

　代理人によると、今後はハローワークに協力を依頼し、従業員の再就職先を探すなどの対応を取るという。

from 山陰中央新報